あなたはマジックが好きですか?

応募部門:鑑賞部門
作: ユキガタフミアキ

あなたはマジック好きですか?
そう言われて僕はどう答えるだろうか。
即答で好きですとは言えないし言わないだろうな、と思う。

僕はマジックが好きなのだろうか。
マジックそのものは子供の頃から観て知っている。
ちょうどハンドパワーを持ったサングラスのおじさんがTVに出まくっていた時期で、マジックと意識せずに知らず知らずのうちに目にしていた気がする。
TVでもマジシャンの姿を目にしていたが実際にマジックを行うことはなくそのまま別の事に惹かれていった。

僕が再びマジックに再会したのは結婚してからだ。
奥さんの友人にマジックをする人がいて、土曜日の夜にファミレスで演技を披露するから見においでよと誘われたのがきっかけだ。
僕よりもマジックが好きな奥さんはそれ以降マジック関係のイベントや演技を見に行くようになり、自然と僕も付き添いでマジックを観る機会が増えていった。
飲食店で目の前で披露されるマジックも、広いステージで煙や音や様々な効果と共に披露されるマジックも、ジャグリングと組み合わさったり、笑いと組み合わさったマジックも見る機会に恵まれた。
こうやって振り返ってみると知らず知らずのうちにマジックに接していたことに驚かされてしまう。

その日から10年経った今、奥さんに誘われればマジックのイベントを見に行くし、自分一人でもお気に入りの演者が公演を行うのであれば遠方でも見に行きたいと思うし、
メリケンハット用の帽子もレクチャーDVDも持っているし、いつの間にかコイン収集家にもなっている。
普通の人よりもマジックに接する機会が多いほうだと思うし、観る機会も多いほうだと思う。

それでも「なんだ、マジック好きじゃん」と言われると全力でそうでもないよと答えてしまう自分がいる。

きっとこの先も奥さんにマジックを観にいこうと言われると「行きたいなら一緒に行くよ」と応えるだろう。ちょっとめんどくさそうに、本当は興味ないけと奥さんの誘いだから一緒に行くよという体で。
でもきっと誘いは断らない。

そして会場でグッズとかが売っていたらたくさん買うだろう。
パンフレットとかもきっと買うだろう。
Tシャツも売ってたら買うだろう。
遠い場所でも行くだろう。

でもマジックが好きかと聞かれたそうでもないと答える。
僕とマジックはそんな距離感。
これからもずっとそんな距離感。