“まさか!”は起こる

応募部門:演技部門
作:石神 薫

柏マジッククラブ・石神 薫

 マジックを演じていると、失敗が起こるのは当たり前ですよね。“タネを落としてしまった!”、“タネが開かない!”、等は誰でも経験のあることでしょう。それを防ぐために何回も練習するわけですよね。10回やる!、20回やる!、翌日もやる!、明後日もやる!、近親者に見てもらってやる!等、先生や先輩方に似たようなことを何回となく言われましたよね。“練習をたっぷりやったつもり”でも、しかし、出演して発表すると思いもしなかった失敗をしてしまいます。だから、“練習”なのですよね。

 “練習も何回となく”やりました。“他人にも見てもらい”ました。しかし・・・

 柏マジッククラブ・「マジックショー2012」で起こりました。・・・“まさか!”が。

ショーの2部の3番目;石神の発表は“だるまさんが転んだ”です。お客様に選んでいただいた“だるまさん”を倒していくと、順に“転んで”行くのです。そして、最後には・・・

 今回のお話はその“最後の”だるまさんがどうのということではありません。/つまり、マジック自体は大成功だったのです。では、何が“まさか!”なのかというと。

 石神「・・・では、今日は皆さんと一緒に楽しみたいと思います! それでは、ステージの上でこの“だるまさんたち”と一緒に協力してくれるお友達は、手を挙げてください。」「ハーイ!」と。

客席のお子さん達の15~20人くらいが元気よく手を挙げてくれました。「はい!はい!・・・」と。

石「さあ、誰にお手伝いしてもらおうかな!?」(グルグル見渡し・・・)

 ステージに上がるまでは、大きく次の2つのことを考えます。その①『誰も手をあげなかったら、どうしようか!?』、その②『私の指示が分からないような子が上がってしまったら、どうしようか!?』

で、その①「はい!、はい!・・・」と、たくさんの手が上がった時点で、①の不安は消えました。その②;私の指示が分からないような子は、「これだけたくさん手を挙げているのだから、ステージから見て“この子だ!”という子を探せばいいんだよね!この時、私は実は“ホッとした”ことを覚えています。私から見て客席の中央付近に元気よく手を挙げているお子さんが二人いて、石神「では、君!上がってください。あっ、ごめんね!そちらの君ではなく、○○の服を着ている君!お願いします!」

 これで、前述②の『私の指示の分からないような子』ではなく、まあ、理解してくれるだろうという子を、思惑通り選んだのでした。・・・『後は、マジックのネタさえ間違えなければ、無事に終了!』となるはずでした。

 しかし、“まさか!”は、起こったのです。

ステージの上に上がって来たのは、何となく感じの似ている“まさか!”の2人の男の子だったのです。先ほどの「・・・、○○の服を着ている君!お願いします!」は、その2人共に聞こえたようなのです。

実は、私・石神は教員をしています。ダメなことは「ダメ!」と怒ります。でも、本人が悪くないことは決して「怒ってはいけません!」。ステージに上がって来た2人には全く責任は無いのです。

/さらに、私のセリフに次のものもありません。「そちらの君、呼んだのは1人だから帰ってね!」・・・それらが一瞬のうちに私の頭を過ぎりました。そして、私の口から出たセリフは、石「では、二人のお友達にお手伝いしてもらいましょう!」、石「はい、君のお名前は?」、△「△△です。」、石「はい、こちらの君のお名前は?」、□「□□です。」、石「はい、それでは、△△君と□□君に大きな拍手をお願いいたしま~す。」(拍手)

石「では、2人に順番にやってもらいましょうね。では最初に△△君!ここにカードがあるから、順番に切っていきます!どこがでストップと言ってね!」、△「ストップ」、石「はい、このカードは◎◎だね!」、石「では、□□君と一緒に数えていくよ!□□君!一緒に数えてね!」、□「だ、る、ま、さ、ん、が、こ、ろ、ん、だ!」・・・(以下、略)

 そして、マジック自体は大成功で終わりました。

石「それでは、2人に出てきてくれたお礼にお土産があります。△△君、はい、どうぞ!、□□君、はい、どうぞ!」 → 何故か、お土産は2つ持っていたのでした。

 2人が、ステージに上がった時の感想;『まさか!2人が上がって来るとは!・・・この2人とやるしかない!セリフやルールはもう、どうでもいいや!』(大汗)

 何故か、お土産は2つ持っていた;『使う予定の無い予備も、役に立つことがあるんだ!』(汗)

後日談;柏マジッククラブのあるクラブ員から「石神さん!子供を2人上げるのは予定だったの?だって、お土産も2つ持っていたじゃないですか!」(冷汗)

“まさか!”は起こるのですね。(思い出す度に、どっと汗)